未明の街

boda2006-02-05

時が流れてく
トクトクと 
ワッショイと
連なりながら
ふふと、微笑みながら


  さっきまでいた君の吐息
    一歩前の歩行の姿勢
   通り過ぎた孤独な横顔
    始発前の電飾の瞬き
   思いだし笑いの笑窪後
   階段を駆け降りた動悸
    

無駄なことも
大切なことも
死守することも
背中の辺りから
みんな流れていく


時のゆりかご
どこに消えていくんだろう


未明の新宿
はー っと
白い息を捕まえて
足下から生まれる
新しい時間を待っている

クオリア

朽ちたベンチのめくれた座面
生まれたばかりの戸惑うため息
青色発光ダイオードの光の残像
捨てられたぬいぐるみの汚れ
屹立する高層ビルの天辺


脳の中に芽生えた
おびただしい数の
説明できない新しいクオリア


私の存在
君の存在
我らの存在


未知を開拓し 風説を受け流し
刻印された稲妻のようなクオリア
歪んだ世界の上に解き放つ


境界線をハヤブサのように飛び越え
暗黒と光が交錯する海にたどり着き
私の説明できないクオリア
酸素を纏って吹き上がる時
千載一遇の出会いを迎える


しかし
摩滅した脳の中に
秘宝のような若く幼いクオリア
無邪気に飛び回っていたこともまた
忘れてはならない

本日

boda2006-01-21

あたらしい 暦
あたらしい手帳
あたらしいペン
あたらしい 靴


りゅーんりゅーん
     心 フルワセル


あたらしい道標
あたらしい 道
あたらしい 風
あたらしい口紅


びゅ−んびゅ−んと
     心 サラワレル


クロスしてリンクする希望
新しいことの一切宝的受領

大海のパッション本日始動

燃えつきない流星

青空の下で君と会う
君は体をかばいながらやってきた
突然倒れたあの日から五つ目の冬が来たんだ


空はあんなに澄んでいる
通りの風が冷たいよ


麻痺した左手も
曲がらなくなった左足も
会話を奪われた言語障害
君を幼くさせているけれど
笑顔はあの時のまま


言葉は選ばれて君から離れて行く
空に突き刺す街路樹の枝が風に揺れる


君ははにかんでつぶやいた
        (人並みの能力戻るかな)


君の顔を見てる
うつむいた目を覆う長く美しいまつ毛や
ちゃんと手入れしたまゆ毛の凛々しさを
じっと見てる


青空の下のぎこちないはにかみが
君と私の 左手に 左足に 
静かに染み渡る


能力なんて君が思ってるほど平均ではないんだ
みんな何かが壊れてる


一緒に歩く
青空の下を一緒に歩く


あの空の先で廻り続ける
藻くずのような 燃え尽きない流星を
拾い集められるのはいつの日だろう


しかし


流星は大気を破り地上に舞い落ち
自由という名の隕石になることもある
踏み出す力はまだ残ってる
戸惑い笑い泣きながら 前へ 前へ


            青空の下
            北風の中
            君の明日へ

ロンド

    



            廻る廻る廻る
          夜の公園の水銀灯の下で


          繋いだ手が離れないよう
         握る力のバランスに気をつけて


          終りの合図は決めてない
          君と私のあてないロンド

救済


         君の背後に 
         にじり忍び寄り
          そっと抱きしめて
          私は手のひらを
          分厚いその口びるに
          押し当てる


   手の平の筋から吸収される
   言語洪水のエクスタシー
   君の声の中で溺れて忘我する


         私を突つく言葉はドープ
         私の日常を抹殺し
         破壊しながら互助してる


     私は 息を止め
     時空ポケットに引きこもり
     妖しげな戒名を持って
     連打されつくし
     卒塔婆の脇に立ちつくす


         だが 私は
         いくつかの屈辱にまみれる前に


    惑わす言葉の挑発で
    脳の一部が
    燃えて焦げて消えて煙になる前に


         永久凍土の怪しげなほこらの中に
         恥さらしな魂を隠す前に
         君の唇から手を放す


         それで君を救うのだ

影遊び

唐突に光が 顔をのぞかせて
向き合った君の顔が 
一瞬にして見えなくなった


光は影を従えて
遠ざかろうとしている


イマ キミハ ワラッテ マスカ


光の中に君が吸い込まれて
私はその白い顔に手をのばす


光の踊り場に映し出される影は
本心を語れない君の分身


遠ざかる光に影は長くなり
私は 私の影を君に重ね
いたずらに同化を企てる


ドコマデ チカヅケバ 
キミノ カオガ ミエマスカ