救済


         君の背後に 
         にじり忍び寄り
          そっと抱きしめて
          私は手のひらを
          分厚いその口びるに
          押し当てる


   手の平の筋から吸収される
   言語洪水のエクスタシー
   君の声の中で溺れて忘我する


         私を突つく言葉はドープ
         私の日常を抹殺し
         破壊しながら互助してる


     私は 息を止め
     時空ポケットに引きこもり
     妖しげな戒名を持って
     連打されつくし
     卒塔婆の脇に立ちつくす


         だが 私は
         いくつかの屈辱にまみれる前に


    惑わす言葉の挑発で
    脳の一部が
    燃えて焦げて消えて煙になる前に


         永久凍土の怪しげなほこらの中に
         恥さらしな魂を隠す前に
         君の唇から手を放す


         それで君を救うのだ