朽ちたベンチのめくれた座面
生まれたばかりの戸惑うため息
青色発光ダイオードの光の残像
捨てられたぬいぐるみの汚れ
屹立する高層ビルの天辺
脳の中に芽生えた
おびただしい数の
説明できない新しいクオリア
私の存在
君の存在
我らの存在
未知を開拓し 風説を受け流し
刻印された稲妻のようなクオリアを
歪んだ世界の上に解き放つ
境界線をハヤブサのように飛び越え
暗黒と光が交錯する海にたどり着き
私の説明できないクオリアが
酸素を纏って吹き上がる時
千載一遇の出会いを迎える
しかし
摩滅した脳の中に
秘宝のような若く幼いクオリアが
無邪気に飛び回っていたこともまた
忘れてはならない