2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

河原

緘黙な河原の 時空に 光と闇を緩衝する 片目の番人が 夕闇の時を操るように ふわりと宙に 浮いている にじんだ だんだんの空で 昼と夜が 一気に交錯せぬように 闇夜が 一途に突き抜けないように そろりゆるりと 時を見計らい 番人は 飛んでいる 河原の土手の…

メタ認知

勝つか負けるか 大人か 子供か 富めるか 貧しいか 独りか族を束ねるか 世界は極の広がりの 恐怖に満ちている 差別や区別が横行し 組み分けされた労働者が地上で泣いている 巨大な 遠心分離機 遠心と求心の力は 等しくて その中に 放り込まれるのは 他でもな…

ピンポンボール

先頭に立ち 朝焼けの中で旗を振る 紫の世界が 照れた五感を挑発する (ハッシン スルンダネ) 堆積した幾つもの地層から 昇華した魂は まるで ピンポンボールのようだった 数が増えるほど 楽しげに弾むけど 多くは恍惚として 戻らない (シカシ ミツケタネ)…

指笛

路地のコーナーの送電線の下で、 私は指笛を吹いている。 あなたが自分を見失いそうだから、 私はここにいると合図する。 たよりない指笛が、 あなたに届くのだろうか。 あなたはあなたであることを 知らせるために、 相変わらず 私が私でいることを伝えるた…

秘密

小さくまあるい秘密 左手にぎゅっと 握っている 内緒にするほど 大したことではないけれど 持ってるだけで もこもこと あたたかい ときどき 指の間からこぼれないよう そっと 握り直す 祈るように 覚めないように あなたとの 小さな 約束だから

空の音

空の音を聞いていた 顔を天に向け 風を頬にうけ 人が歩き始める気配も忘れ 空の色を見つめてる 信号が変わっても 君は歩き始めない 空に話しかけていた 顔を天に向け 風を頬に受け 微笑んでいる 空に向かって笑ってる 君の白濁したその目に 空の青さが残って…

ザッハリッヒ

そう きのうもおとといも 私はここにいた きっと 明日もここにいる 当たり前のように ここにいる 即物的まっとう理論 そろそろ初霜が降りる それがいいのか悪いのか そんなことすら分からない 目先のことに 囚われる その日常 ザッハリッヒ