道路工事の旗振りの
年のころ70歳代と
おぼしきおばさんの
トンチンカンな誘導に
泣き笑う



罵詈雑言誘ってどうするの
そんな 一所懸命
頭 下げてどうするの
そうやって あなたは
お辞儀ばかりで
暮らしてきたの?



悲しさなんて
どこにでも転がっているから
すぐに拾うことが出来るけど
今日の拾い物は
特別やり切れない



進まぬ車の列の先頭で
一人で何度も何度も
頭を下げている


ああ
人に感心ばかりして
自分では何も行動しない
誰かのように
無知でお人よし



さあ

気付くことから始めなきゃ。

アーカイブ


記憶すること
受けとめること
感じること


すべてを
脳内アーカイブに投げ入れる
(雑多にごちゃごちゃと)


いつか ストックされた
雑多な無形物が
ワタシという人間の 
製造マシーンで
有形化する時がきっと来る


記録保存所に投げ込まれた情報は
ある瞬間 存在を誇示する
(ほら これを引き出したまえ と)


シグナルを送って来るのは
明日かも知れない 今日かも知れない
遠い未来かも知れないね
でもそれは突然きっとやってくる



     脳の中で
     電光の糸が矢印を放ち
     無数のアーカイブボックスが繋がり
     雑多な記憶がかたく結びつく
        

     一つの大きな光の球体



大切なことは何か
ワタシが何を書き留め
何をキャッチして
どれほどアーカイブに投げ込むかだ


大空に浮雲
未来は
果てしない時空の中に



ワタシの大空にも
時々刻々と形を変える
呼吸する雲が浮かんでる

茜空


夕焼けの桜吹雪の中で          
のんきな君と
とりとめのない話がしたい


たとえば


今度の仕事の話や
深夜の駐車場に集まる
のら猫たちの 会合時間について 
とか。


時々 笑ったりして


茜雲の間から
春をさらうような風が吹いてきて
ざわざわと、木々が揺れる
桜の花びらが冗談のように飛んできて
二人の足元に花びらのカルマン渦をつくる


ゆるい茜の日差しが微笑む場所で
スピンする花びら達
可笑しいくらい のんきな夕方だ


そんな日暮れに 
君にあいたい

ここにいる

boda2006-03-26

小さき心に 打開の風よ吹け
閉じた世界に 光明を

     
身振り手振りで
言語の外の感情を
ここに!
ここに!
ここに!
吐いてしまえ


慟哭し 砕け
再生するんだ


私は待つ
私は見てる
私は身を賭してでも
君の未来を守りたい


いつだって
君を受けとめる


小さき心に 起死回生の風よ吹け

空耳

boda2006-03-20

悪戯な三月は季節も、心も
一進一退を繰り返す


先に進もうとすれば、
冷たい春の嵐
浮かれた五体と
根拠のない高揚感を
ブローする


遠い日の声が耳元に届く


「いい気になるなよ」


あれは


校則破リを侵した日に
足早に通り過ぎていった
高校教師の憤りだったのか
夜通し飲んで出社した朝に
緊張を無くした顔へ吐きつけた
上司の怒りだったのか



サクラのつぼみは 
まだかたい


自嘲する
自分の声は届いているか


風が吹く
対話せよ
自制せよ

マンホールの光

いくつかのマンホールがあって
その中の一つ一つを丹念に覗いてみた
中はどれも底の見えない空洞だ


私は密林に棲む獣の目になり
暗闇の先を凝視する
気を抜けば呼吸を剥奪されそうだ


トンネルの遥か先に 
わずかな光が見える
笑って いるような
躍って いるような 


遠い安息の夜に見た
石灯籠の瞬きに似た
     静謐な灯


その小さな輝きに
私の背後からこぼれる
地上の光が
距離感も掴めぬまま
マンホールの底の揺らめきに達し 
融合すると


それは存在の証明を誇示するように
わずかに浮かび上がった


             あまたの光るもの
        マンホールの先に見いだした 
             遥かな宇宙の遊星


背後の光をさらに照射すれば
光をはらんだその星は
この手元まで 浮かび上がってくるのだろうか


                  指先に
                   腕に
                   体に
                頭脳に光を


密林に棲む獣の目で見つめている限り
遊星は浮かび来ない
光は賢さと 受けとめる器を望んでる


魑魅魍魎が支配するこの現し世は
成長しきれない脆い子供の骨で作られる
あまりにも細く儚く頼りない


魔界に棲む獣たちが携えている荷物には
本能や煩悩や陵辱的な知識が積まれてる
学識は人を騙すための道具に成り下がる
    
    
   恥辱とは 何
   尊厳とは何か



人ほど怖いものはなく
人に属する私も また知恵なき獣
欺瞞と偽善と見栄で作られた
子供の骨がぎしぎしと 冬空に唸ってる