河原

    


       緘黙な河原の 時空に
        光と闇を緩衝する
     片目の番人が 夕闇の時を操るように
      ふわりと宙に 浮いている
      
      
       にじんだ だんだんの空で
     昼と夜が 一気に交錯せぬように
     闇夜が 一途に突き抜けないように
      そろりゆるりと 時を見計らい
        番人は 飛んでいる
        
      
      河原の土手のほどよい空き地に
    じっと動かぬ老婦人を見つけたならば
       見事な茜の空を手渡して


      仕事疲れの 働く母のため息に
      川風を包むように 吹きかける
      

        高慢な私もすべての影も
          片目を つむり           
        番人自身が闇に消える時         
        
      
       すべては清浄の闇に溶けていく