2005-11-28 河原 緘黙な河原の 時空に 光と闇を緩衝する 片目の番人が 夕闇の時を操るように ふわりと宙に 浮いている にじんだ だんだんの空で 昼と夜が 一気に交錯せぬように 闇夜が 一途に突き抜けないように そろりゆるりと 時を見計らい 番人は 飛んでいる 河原の土手のほどよい空き地に じっと動かぬ老婦人を見つけたならば 見事な茜の空を手渡して 仕事疲れの 働く母のため息に 川風を包むように 吹きかける 高慢な私もすべての影も 片目を つむり 番人自身が闇に消える時 すべては清浄の闇に溶けていく