月よ 月よ 月よ月


そろそろ月を見にいきましょう。
丘の上にぽっかり浮かぶ、
まあるく蒼いお月さま。
それとも海を銀色に染める
霞の中のお月さま。


足元からせり上がる風が強ければ、
草むらに身を沈めて見上げます。
凍えながらも見上げてみます。
見つめ過ぎて首は上方45度の角度で
固まってしまうかもしれません。



それは痛恨の夜かもしれません。
深い愛情を受けたあとかもしれません。
傷ついた夜かもしれません。
誰かに悪態ついた夜かもしれません。
自分の勇気に驚いた日かもしれません。
かすむ目に老いを感じた時かもしれません。
経験不足を恥じた時かもしれません。
若過ぎると何かを封印された時かもしれません。
初めてキスをしたあとかもしれません。
発想する力が欲しい時かもしれません。
咽の奥で止まった涙を流したい時かもしれません。


誰にでも幸せは公平にあるなんて、
嘘だという事を知ってしまった夜かもしれません。



でも、今夜。
月を見上げに出かけましょう。
そこにある安心感。
幸せたっぷりです。



      すべての人に 月の光
      すべての人に 僥倖を