散歩の途中


本当のことがいえない時に
あなたの顔をじっと見ていれば、
気持ちは伝わるのでしょうか。


夜の街をただひたすら歩いて、
言葉にするチャンスを探していたのだけれど、
どうしてもいえなかった。


遠い国の話、
時間の短さの話、
将来の夢の話、
アキ・カウリスマキの話、
オーロラの話、
人と人の繋がりの話し。
国が今しなければいけないことの話。


楽しい本をめくるように
次から次に話題は生まれるのだけれど、
どうしても話せない。
口に出来なかった言葉がありました。


今年の冬は温かい。
一人になっても、コートを脱いで歩きます。
どうしても言えないのなら、
ずっとこのまま抱き続ける方がいいのでしょう。
そっと、このまま、
胸にしまうのがいいのでしょう。