雨上がりの南天の


雨上がりの南天の枝を
揺さぶってみる。
枝一杯に広がる葉に付いた無数の雨が
一気に飛び散って
私の袖はビッショリだ。


それまで雨の重さでしなだれた枝は、
一気にすっくと立ち上がり、
また元の見馴れた南天になっている。


そこで私は、ほほほ、と笑う。
すっくとなって、うれしくなって、
ほほほ、と笑う。


雨の恵みで南天は艶やかだ。
夕陽が当たって、さらに生きている。




生きて行くと言うことは、
思い荷物を背負いながらも、
誰かの力を借りてすっくと立ち上がったり、
自然に乾いて、もとの姿に戻ったり、
もらった何かを吸い上げて、
自分のエネルギーに変えることなんだ。


南天はうっすら 紅葉してる。
赤い部分に私は そっとくちづけをした。