庭に放置したマウンテンバイクの
サドルの下に
凍えて動かないカマキリがいる


生きるよすがの触覚は
片方が折れ
もう片方も しなだれて


レースのように美しいはずの薄翅が
硬い翅の下から
収まり切らずに覗いてる


それは 火で悪戯されたように
まだらに茶色く 変色し
砂漠の生き物の甲のように 艶もなく


しかし生きている
サドルの下で何も食べずに3日 
複眼を凝視して


世界の掟は何
ひたすら生きるという
実行の約束か


明日もじっと見る
がんばれと 子供のように 
声かけながら 見届ける